昭和42年の晩秋、消えつつあるSLの雄姿を写し取るべく、準備もそこそこにひとりの青年が大阪を旅立った。目的地は、鉄道ファン垂涎の地、肥薩線大畑駅と筑豊本線冷水峠であった。肥薩線大畑駅といえば、日本でただ一つのループ線にスイッチバックがある駅として有名。小高い丘から見下ろしたその雄大な風景は、あまりのスケールの大きさに息を呑む。そして、筑豊本線最大の難所・冷水峠。峠の冷水トンネルに向かって、S字カーブの急こう配の坂が続く。その坂を爆音とともに駆け上がってくるSLにただただ圧倒される。2つの難所をゆったりと力強く駆け抜けていくSLの姿には、戦後日本の経済成長を支えて驀進し、その役目を終えて行ったものへの哀惜の情を感じずにはいられない。
遠い日のSLの記憶
~大畑のループ線と冷水峠越え~
著:阪田 収
定価:1650円(本体:1500円+税)(幻冬舎ルネッサンスより全国発売)
ISBN978-4-7790-0326-4
~大畑のループ線と冷水峠越え~
著:阪田 収
定価:1650円(本体:1500円+税)(幻冬舎ルネッサンスより全国発売)
ISBN978-4-7790-0326-4