今回の写真集は、私にとって2册目の出版となります。最初の1冊目は、都内の出版社に依頼しました。校正作業については、じかに足を運び、フェイス・ツー・フェイスでした。それにくらべると、リーブルは高知であり、距離的な不安はないといえば嘘になります。
しかしながら、事前の対応の中で、とりわけ印刷のサンプルを作成してくれたこと、そして、このサンプルを通じて、御社の丁寧な説明、当方が納得いくまで行う姿勢、印刷工担当者と相談しながら対応してくれる姿勢。そこに強く共感しました。
これまで大手も含めて5社から6社は出版社を回っていますが、契約前にサンプル印刷をしてくれるのは、ここだけと思います。それほど、印面に対する熱意が感じられたのです。主にメールでのやりとりが行われましたが、私の場合、職業柄、メールのほうが都合が良かったので、あまり不自由さはかんじませんでした。
またデザイン・印刷とも、十分私の期待に応えてくれました。サンプル印刷のときに、担当者より、「モノクロームの映画を見ているよう」という評価をいただいたときに、われに返る思いがしました。僕自身、映画のような、物語を作りたかったからです。印刷に関しては、最後の最後のまで、当方の希望以外にも、積極的に新たな提案があり、最終的には、リーブルの提案印刷によってつくることになったのです。
本の仕上がりはとてもよかったですし、なにより、うれしかった。今回の写真集は、炭鉱をテーマにしたモノクロ写真ですが、この本を献本したある人は、「本当に(石炭の)ススが手につきそうな写真集だ」と言われ、ここでもはっとした思いです。
今回の写真集は、私のいわば青春時代に撮影されたカットをまとめたものなので、そういう特性上、「ああ、ここまで撮影を続けてきて良かったな」と納得のいくできばえだと思います。
『炭都』宮﨑拓郎(東京都在住)