自費出版:グラフィック系
自費出版:文章系

デジタルかアナログか

先日、子どもが通う学校で広報誌のデジタル化が議題に上がっていました。「印刷をやめてLINE発信にすれば経費削減になるのでいかがででしょう」と。それを聞いて、紙ものが好きな私はそれに異論を唱える側だったのですが、唱えるからには紙媒体のメリットをきちんと伝えなければなりません。この時代に情報を紙で伝える必要性はどこにあるのでしょうか?
紙媒体の最大のメリットは、情報を受け取るときに「体験」や「体感」が付け加えられることだと思っています。例えば同じ情報でも、スマホであれば各々が好きな時間にその情報を確認するため「一緒に見る」や「囲んで話をする」という行為が比較的少なくなるように感じています。そしてその情報には物理的な厚みは存在しません。(だからどうした、と思われるかもしれませんがこれが意外に重要なのです)。しかし冊子や紙面であれば情報の受け取り方が異なります。誌面を広げて囲んで話をしたり、知人に冊子の貸し借りをすることも可能です。つまりは情報単体の記憶にプラスして、「家族と一緒に見た」という記憶だったり、「友達から借りた本で読んだな」だったり「ぶ厚い本の後半の方に書かれていたな」いった体験・体感が伴います。体験が加わることにより、その情報はより奥行きのあるものとして頭や心に残るのではないか、と考えるのです。
もちろん、デジタル化のメリットは往々にしてあります。ただし、スマホはクローズドでプライベート、紙ものはオープンでパブリックな媒体です。届ける情報の性格や、その情報をどんな風に受け取ってもらいたいか、といった視点を持ち、経費面のみで判断せず、届ける媒体を選んでいくべきだと感じます。

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