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天然痘と闘った町医者の物語

天然痘は、人類が唯一根絶させたウイルスですが、世界中で幾度も大流行が起きときには一年で数百万人も亡くなるほどの恐ろしい疫病です。1980年にWHOが根絶宣言を出し、現在では研究室にそのウイルスが残るのみです。

私は1979年生まれであるため、その病に触れたことも見たこともありませんが、戦前頃までは日本だけでも年に数万人が亡くなり、感染力も致死率も非常に高い疫病として恐れられていました。

江戸末期、この未知の疫病に立ち向かった人物がいました。それがこの本の主人公、福井の町医者・笹原良策です。この本は疫病から人命を救うため、私財も命も賭して闘い続けた町医者の実話をもとにした物語です。

良策は、異国から伝わる確実な治療法を見つけるも、漢方医ばかりのこの時代において、見たことも聞いたこともないその方法に庶民は疑念をいだき、藩医や役人にも馬鹿にされ、誰も相手にしてくれない日々。その間にも多くの人が感染し命が奪われていく。救える命が救えないもどかしさが続く。

良策がいかにこの壁を乗り越え、疫病から人々の命を救ったのか、ぜひその目で触れていただきたいと思います。しかしながら、ここに登場する藩医と役人の腹立たしさったらないですね。はらわたが煮えくりかえるとはこのことです。そんな中で、藩主・松平春嶽の見識と懐の深さをここでも見せつけられました。やはりものすごい人物だったのだと改めて感じました。

今日(1/24)から映画も公開されるようです。時間をとって見に行きたいと思います。

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