【日刊リーブルレターVol.5】
様々なルーツを探求することが好きな私は、その類の書籍をよく漁っています。宇宙や地球のルーツ、人類のルーツ、日本人のルーツ、そして「日本語」のルーツ。
今日は出版社として切っても切り離せない日本語についてお届けします。
日本語は孤立した言語だと感じたことはありませんか?
例えば、英語・ドイツ語・オランダ語等は同じルーツをもった言語ですし、中国語はチベット語等と同じルーツを持っています。しかし日本語はそのルーツさえ不明なのです。それだけ日本が独自の言語や文化を築いてきた証なのだとも考えられますが、なんだか仲間がいないような気がして寂しい気がするのです。どこかに仲間はいないのでしょうか。
私たちの祖先は最初から日本列島に住んでいたわけではないため、どこかに必ずルーツはあるわけです。そのため多くの言語学研究者が様々な起源説を唱えていますが、いまだ定説には至っていません。
中国や朝鮮など北方アジアを起源とする説、東南アジアなどを起源とする説、南インドを起源とする説など様々。起源に結論を出すためには、言語学だけではなく考古学や遺伝子学などの力を借りる必要があり、まだまだ議論が収束しません。仲間が見つかる日が来るのでしょうか。
日本語は他言語を柔軟に取り入れながら大きく変化してきた言語です。そのため、ひとつの言語を起源として限定するのはなかなか難しそうです。人類はアフリカで誕生し、そこから出発した人類は世界中方々に散らばりながら、数万年をかけてこんな東端の小さな島国に辿り着いたのが今の日本人です。言語も文化も複雑に混ざっていて当然だと感じます。ゆえに日本人にはそういった他の文化を受け入れる柔軟性があり、逆にいえば流されやすい国民なのかな、とも思います。
日本語をテーマにした話は一度では語りきれないので、今後も幾度かお届けしていきます。
参考文献
『日本語の起源』大野晋 著(岩波新書)
『日本語の歴史』山口仲美 著(岩波新書)
『日本語の大疑問 眠れなくなるほど面白いことばの世界』国立国語研究所 著(幻冬舎新書)