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日本語はどこから来たのか?(5)

【日刊リーブルレター Vol.13】

漢字の片側(一部)を使用して作られたのが片仮名ですが、当時は漢書のルビや注釈として使用される用法がほとんどでした。

万葉仮名の使いづらさは前回投稿で述べましたが、それが次第に草書体で書かれるようになり、「草仮名(そうかな)」という平仮名の前身となるものが生まれます。

▲平仮名の前身「草仮名」で書かれた『秋萩帖』

1行目に「安幾破起乃(あきはぎの)」という文字が読めますが、確かにまだ平仮名とは呼びがたいですね。
その後、これらがさらにくずされて書かれるようになり、平仮名が誕生します。

だだし、平仮名は女性が扱う文字とされ「女手(おんなで)」と呼ばれていました。男性は漢字または片仮名を使用することが多かったようです。それを風習を逆手にとり、女性のフリをして平仮名で日記を綴ったのが紀貫之の『土佐日記』ですね。

▲紀貫之が女性のふりをして、平仮名を用いて日記を書いた『土左日記(写本)』

「男もすなる日記といふものを女もしてみむとてするなり」という有名な一節からはじまります。(ちなみに土左日記は、「土佐」ではなく「土左」が正しい表記です)

当時の平仮名は現在のように統一されておらず、300文字ほどの平仮名が存在していました。ゆえに現代の私たちにとってはなかなか読みづらいのですが、現在の平仮名とは異なる文字は「変体仮名」と呼ばれています。国立国語研究所がその一覧をまとめていて、眺めると多様な平仮名の歴史が伝わってきます。

「変体仮名一覧」↓

https://cid.ninjal.ac.jp/kana/list/

さて、「日本語はどこから来たのか?」をテーマに数回にわたって書いてきましたが、書き出すとどんどんとマニアックな話になってしまいました。そもそもは日本語のルーツを辿ろうと思っていたのですが、その話は収束しそうになかったため、ほとんど「日本語の文字」について語ってしましました。一旦このテーマの話は終わります。また気が向いたら語ってみます。

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