漢字だけでは日本語を正しく記すことができないと感じた日本人は、漢字を使いながら日本語の一音一音を表せるよう工夫しました。これが「仮名」の始まりです。
仮名といっても、まだ平仮名や片仮名ではありません。「万葉仮名」という、漢字をそのま借用したものでした。借りてきた文字という意味で「仮名」と呼ばれました。ちなみに漢字本来の使い方をする場合は「真名(まな)」と呼ばれていたそうです。
万葉和歌集(5) 国立国会図書館デジタルコレクションより(左から2行目には「令和」の元となった歌が見えます)
万葉仮名は、読みづらさも書きづらさも満点で、例えば「あめつちのともにひさしく」を表すために「阿米都知能等母爾比佐斯久」と書かれた記録があります。(画像参照)
この場合は、12音を表すのに合計100画の漢字で表していたという非効率極まりない仮名で、「よろしく」を「夜露死苦」と書くほどの暴挙っぷりです。
これはさすがに平安時代の人にとっても面倒くさいと感じたのでしょう。もっと簡単に表記するために漢字の一部(片側)を使った仮名「片仮名」が誕生します。
阿→ア、伊→イ、宇→ウ といったものです。
片仮名は漢字を読み解くために、主に貴族や僧侶が使っていたそうです。
続く…