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日本語はどこから来たのか?(3)

【日刊リーブルレターVol.11】

漢字が渡来し、文字を持っていなかった日本人は漢字を自国の文字として取り入れることにしたわけですが、その取り入れ方が柔軟すぎました。そのせいで日本語表記はどんどん複雑化していくのです。

たとえば「山」という文字を知り、読み方は「サン」だと習います。その意味は“やま”だと教えてもらうわけですが、本来ならここでストップですよね。

ところが柔軟すぎる日本人は「じゃあ、“やま”と読んでもいいことにしよう!」と言い出したわけです。これはいわば「LOVEと書いて“あい”と読む」と言っているのと同じで、なかなか強引なわけですが、文字を全く持っていなかった日本人は初めて「やま」という言葉を文字で記すことができるようになったわけです。これはきっと当時の日本人にとっては感動的で画期的なことだったのだろうと想像できます。「じゃあ!じゃあ!この文字は?」と、どの漢字にも日本語読み(訓読み)を充てはじめ、その結果私たちは言葉を文字で残すことができるようになりました。

しかしこれではまだ、日本語をそのまま文字に出来たとは言い難いのです。なぜなら中国語には助詞がほぼ存在しないため、「が」「に」「を」「で」といった言葉に対応する漢字が見つからないのです。さらに先述の訓読みのせいで一つの漢字にいくつもの読み方があり、例えば「東野炎立所見而」などと書かれても、意味は理解できても正しい読み方が分からないという世にも奇妙な事態が発生したのです(この現象は現代でも起こりますね)。「東」は“ひんがし”と読むのか“あづま”とよむのか、助詞の「の」は付けるのか否かといった問題が多発したため、ここで初めて読み仮名にあたるものが生まれてきます。

続く…

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