これまで何冊もの本を出してきたが,俳句写真集というのは今回が初めてであった。カラープリントでは経費がかさむうえに,どんなものになるかわからず,迷い悩んでいた。そんなとき,ネットでリーブルさんに出会った。懇切な説明を受け,たよれる出版社との印象を強くした。製本にかかる見積もりも思いのほか安く,意を決してお願いすることにした。原稿の送付から4回の画質調整と何度かの校正を経て,3ヶ月と少しでできあがった。読者から「本がりっぱ!」「写真がきれい!」「レイアウトがすばらしい!」などの声が寄せられ,満足感でいっぱいだ。
私の俳句写真集には問題が2つあった。その1つ。作品は写真が主であり,句は写真に添えたものであった。知人に見てもらうときは,まず写真だけを自由に,そのあとで句を読みつつ写真を見てもらっていた。しかし,本ではそうはいかない。結局,読者の視線をいきなり句の方に向かわせないよう,句はなるたけ控え目にして写真に添えるしかない。文字のサイズと配置が微妙に影響するため神経をとがらせた。その2。私の写真には句の他に,句の英訳とタイトルそれに解説が付いている。これらが加わると画面が混雑し,下手をすると写真が台無しになってしまう。これも心配の種であった。しかし,送られてきたラフ・レイアウトを見たとたん,すべての不安が吹き飛んだ。こちらの意図が十分に理解されており,ほぼ期待通りのものとなっていた。スタッフが作者に寄り添ってくれているのを実感した。
エピソードをひとつ。いくつかの作品では写真に楽譜を添付したのだが,ある曲の楽譜が外国の出版社のものであるため,転載許可を得るのが難しいことがわかった。ところが,スタッフのなかに楽譜作成ソフトを使える方がおり,オリジナルと違わないりっぱな譜面を仕上げて下さった。こんなことができるのもリーブルさんだからだと思う。これから写真集をつくろうとする方には,文句なしにリーブルさんをおすすめするつもりだ。
『四季を楽しむ』酒井正樹(岡山県在住)
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