また一つ、高知の誇りともいうべき本をこのたび出版することができました。
「木村林吉の軌跡」
高知県四万十市出身の美術家・木村林吉氏の作品集です。
画家としての力量が高く評価されていたにもかかわらず、1980年代から紙の集積体作品の制作を始め、1986年からは紙が木に変化、1992年からは大きな木を輪切りにして重ねた立体作品を次々と発表。
「人のやったことはやりたくない」という、まさに「いごっそう」の精神で、年齢を重ねるごとに新たな作品に挑み、より大きな重量のある作品を90歳まで制作しつづけました。
その人生をかけて取り組んできた作品は多くの人々に感動と勇気を与えた一方で、木村氏は地域の美術振興に積極的に貢献してきた人でもあります。
今回、元・香美市立美術館館長の北泰子氏が、「20世紀から21世紀にかけて活躍した日本の偉大な美術家として木村林吉の作品を後世に残す必要がある」と、この作品集の刊行に至りました。
出版まで2年余りを要し、その途中の2013年2月に完成をお見せできないまま木村氏は96歳でご逝去されましたが、このたびようやくその作品集(膨大な作品群のごく一部ですが)を出版することができました。
この作品集を亡き木村先生に捧げ、心よりご冥福をお祈り申し上げます。